チェンジ
根腐れは水やりでなく植え方で防ぐ


 

透明ポット植えで根腐れから解放、右はペットボトル植え
目次
初めに
根腐れの原因
根腐れの対策−3段階の植え替え、

1 初めに

根腐れ対策は色々と言われていますが、それでも根腐れはなくなりません。ここでは、根腐れの原因を明らかにして、その対策を提案します。以下に示す植え替えで、根腐れの大半は防げます。慣れないうちは本格的な植え替えや、適期以外の植え替えは根腐れや枯れの原因になるので、鉢替えと衣替えと呼んでいる方法から始めます。

2 根腐れの原因

根腐れの原因は、はっきりさせられていないようです。従って、その対策も有効ではありません。そこで、整理してみました。

(1)入手した苗が既に根腐れしている

根腐れと言うと、いかにも、育て方が悪くて根腐れしたように思われますが、典型的なコチョウランを初めとして、園芸店の店頭に開花株としてある時に既に根腐れしていることがよくあります。開花した時が最盛期で、すでに衰弱が始まっていることが多いです。
これに対しては、根腐れの無い元気な株を、回復しやすい暖かくなってから入手するように注意することと、弱った苗が回復できるように植え方を変え、暖かくなってから回復させます。
無理に花の立派な開花株を求めないようにすることも一法です。

園芸店から開花株を入手して、根腐れしていた例(右)、左は正常な場合
 
大型コチョウラン、左:健康な例、右表面露出の根以外は根腐れしていた例
 
大輪カトレヤ、左:ほぼ健康、水不足で乾き気味、右:根が茶色く変色し、やや腐り始めている例
 
左:オンシジウムの根、上の方の白い根以外は既にやや根腐れしている。
 
パフィオペディルム、左:元気な根、右:根際から腐っている根を取り除いた
7.16根腐れと正常な例の写真を追加

(2)植え替えによる根腐れ

元からある根腐れに次いで多いのが植え替えによる枯れです。
最大の理由は、低温で根が不活発な時期に植え替えをすると、水やりしても根が水を吸うことができず、過湿が続く悪循環となって、根が腐るようです。
洋ランが店頭に出回るのは花の多い冬から春の時期ですが、洋ランは休眠期に開花する性質があるので、その時期には根が一番弱っています。しかも、自生地の休眠期は乾季ですが、我が国の休眠期は低温期のため、根は一層根腐れしやすくなっています。
さらに、植え替えを、温度が低めの時に行うと、健康な根を傷めてしまい、暖かくなっても回復しません。
植え替えの後は、乾かすように言われていますが、それでは根が弱ったり、株が吸水できなくて弱ったりします。
植え替え後の水やりは難しく、慣れないうちは、健康な苗も植え替えをきっかけにして弱ることが多いです。これは、慣れないうちは植え替えを見送るか、十分暖かくなってから植え替えをすることで防げます。
これに対しても、暖かくなってから苗を入手すること、慣れないうちは植え替えをなるべく避けることが良いようです。

(3)低温期の水やりによる根腐れ

低温期に入手して、根が不活発な時期に不慣れな水やりをしていると、根が乾かないうちに水やりすることになり、根腐れします。従って、鉢が湿ったままで水やりすると、根腐れします。これには(2)と同じ対策で良いのです。
次にあるように、早速透明容器に移し替えて、鉢の中が乾いてから水やりすれば防げます。

(4)鉢の表面を見て水やりするために、鉢の中が過湿になるのに気付かず、根を弱らせてしまう。

鉢の表面が乾いていても、中の湿り方は、季節、鉢の大きさ、苗の吸水力の強さ、根の健康状態などにより千差万別です。鉢の中が適度に乾くまで待ってから水やりしていれば、根腐れは置きにくくなります。コチョウランで使われている、透明ポットに切り替え、鉢の中を見ながら水やりするようにするだけで、根腐れは減ります。


3 植え替えは一番危険な作業
チェンジ
どうやるかより、するかどうかが大事

洋ランの育て方の本の大半は、植え替えのやり方だけが書いてあります。一部に、植え替えはどうしても必要でない限りやらない方が良いと書いてありますが、その理由は十分説明されているとは言えません。
上にも書いたように、洋ランが枯れる原因の半分近くは入手した苗がすでに根腐れしているためです。その他には、慣れないうちは、植え替えは、枯れる原因のかなりを占めています。
従って、植え替えと言うと、すぐ方法を考えますが、大事なのはするかどうかの判断です。
植え替えをしないと言っても、何もしないわけではありません。初めの内は、透明ポットへの鉢替えだけをし、少し慣れたら芯入りへの衣替えをするのです。こうすることにより、初めから根腐れしている場合を助けたり、水やりの難しさに依る新たな根腐れを予防すると共に、植え替えに依る新たな枯れを避けられます。
7.29追加

4 根腐れの対策−万能の、透明ポット・鉢底敷・発泡スチロール角棒多芯入り・中粒バーク薄着植え・底横穴開け

以上の対策として以下のようにすれば、根腐れは激減します。
(1)根腐れしている株を避ける、慣れない内はそのような種類を手掛けない
(2)低温期の入手を避ける
(3)慣れないうちは、植え替えを控える(鉢換え、衣替えをする)
(4)植え替えは暖かくなって、芯芽や新根が出始め、活着の良い時期に行う
(5)透明ポット植えにして、植え込み材料が乾くのを確かめてから水やりする
  コチョウランで使われています。
(6)発泡スチロール角棒を根の間に挟み、根を1本ごとに薄い植え込み層で包む積りの植え方にして過湿を避け、通気を良くする
 和蘭の風蘭で確立されているドーム植え・木炭芯入り植えの方法を発展させました。
 着生ランは自生している時は根がむき出しなので、植えた場合もできるだけ薄着に出来ると良いと思います。
(7)鉢底に排水の板を敷き、水が溜まっても植え込み材料を湿らせ続けないようにする
(8)鉢底近くに横穴を開け、鉢の中を上から下まで均一に、早く乾かす
 米国で使われているスリット鉢の代わりです。
さらにこの方法の利点は
(1)普及種全てをバーク一種・一つの植え方で育てられる
 作業が単純で良いことと、一つのやり方のため結果が分かりやすく、日常の世話の改善がしやすい
(2)苗の大きさ・鉢の大きさに依らず、バーク粒の大きさも中粒だけで良い
 小粒を使わないので撥水性などのトラブルがなく、大粒を使わないので根に馴染みやすい、1種類なので保管などに便利
 鉢が大きくなっても、根が太くなるわけではないので、バーク粒の大きさを変える必要はありません。
(3)種類や大きさなどにより、スチロール棒の太さや数を調節することができる
 色々な鉢が一緒にあっても、それぞれ最適な条件を見つければ、水やりなどは一斉にできて簡単
(4)鉢を大きくできるので、過乾燥を防いで、生長が旺盛になり、花が咲きやすくなる
 植え込み材料をむやみに増やさずに鉢を大きくできるため、苗へのストレスが減り、生長が良くなる

8.16「根腐れは水やりでなく植え方で防ぐ」を独立させる
7.29植え替えは一番危険な作業を追加
7.16根腐れの例の写真を追加、万能の植え方の詳しい説明を追加
7.7衣換え・鉢増しの例追加
7.5植え替えのレシピ
2010.6.30掲載開始