バンダの恵方巻き植え


目次
初めに

1 初めに

バンダは、バスケット植えで、根がむき出しなのが普通です。根が丈夫な例外的な種類以外は、ミズゴケなどに植えると根がすぐに腐ってしまいます。そのために、毎日水やりか、冬は根への霧吹きが必要とされ、他の洋ランのようには育てられないと考えられています。
フウランは国産のバンダ類で、昔から、中空植えと言われ、ドーム状にミズゴケを盛り上げて植えられてきました。バンダの仲間のアスコとフウランの交配種であるアスコフィネティアも中空植えに似た芯入り植えで問題なく育てられます。そこで、バンダについても似た方法を開発しました。

2 恵方巻き植えの材料

根腐れの原因は、はっきりさせられていないようです。従って、その対策も有効ではありません。そこで、整理してみました。
樹上着生種の洋ランは、バンダに限らず、根はむき出しで木の枝から垂れ下がっています。従って、根の周りに空気がなくなったり、風が当たらなくなったりするのを嫌うようです。
芯入り植えは、根に沿った植え込み層の厚さを例えば1cm程度に抑えているので、根腐れしません。これと同じことを、根が長くて鉢に入らないバンダで実現する方法を考えました。根の長さの円筒を考え、内側には鉢植えの発泡スチロール棒の代わりにウレタンチューブを芯として入れることにしました。一方、外側は、バンダは他の洋ランよりも薄い植え込み材料層に空気が十分に入るように、網で巻くようにしました。植え込み層は水も空気も良く含むミズゴケをふわっとしたまま使うことにしました。
出来上がりは太い巻きずしのようになるので、恵方巻き植えと呼ぶことにします。
従って材料は
植え込み材料:ミズゴケ
芯:ウレタンチューブ(水道管の凍結防止用)
容器:塩ビ網
固定:掛け金具とビニタイ

3 恵方巻き植えのやりかた

暖かくなってから植え替えます。
1 まず、バスケット植えのバンダの根をバスケットから外します。
2 芯にするウレタンチューブを、網の幅90cmより少し短く切ります。
3 容器にする塩ビ性の網を、ウレタンチューブをゆったり包める幅に切ります
4 網を広げ、植え込み材料である、湿らせたミズゴケの繊維を、長さ方向に1層並べます。
5 バンダを上に置いて、根を1本ずつ長さ方向に揃えて伸ばします。
6 根の上にミズゴケを1層被せます。
7 ウレタンチューブを中央に、切れ目を上向きにミズゴケの上に置きます
8 掛け金具を適当な高さに置き、下の先をウレタンチューブに挿して、ずり落ち防止とします。
9 網を筒状に丸めます。並べた時に端近くで、巻いたときにウレタンの上に来た根を改めてミズゴケで包みます。
10 下から上まで数か所をビニタイで縛ります。

以下の写真の種類はVanda Tokyo Blue No.1 (ヤノ・オーキッドさんの苗)
  

 

直射日光が当たらない雨ざらしのところに置きます。ミズゴケが乾いたらシャワーで水を掛けます。
ミズゴケの上に緩効性の化成肥料をばらまいておきます。

 
左:吊り鉢の状態、右:水やりは全ての方向からシャワーで十分に濡らす、高温・生長期でも週に2回(真夏は3回)程度で十分、低温期は週1度でよく、易しい。

恵方巻きにする前は根が萎れていましたが、植えかえて20日後に見てみると、根から枝が出てきました。
バンダは根の環境が変わると敏感と言いますが、このように様子を見るために頻繁にミズゴケを開いても、問題を生じません。

冬に、根が短いので、ウレタン芯入りペットボトル植えにした苗は、しばらくすると花茎が出てきました。

2010.7.4掲載開始